雑記

乳がん患者の妻を持つ夫が発症から手術~治療の段階で思ったこと

非常にたくさんの方にこの記事を読んでいただいております。
色々不安なこともあると思いますが、ともかくネットの情報だけに右往左往されないことをお勧めいたします。
癌のステージや余命などの記事を見て、思い込み過ぎないようにしてください。


Facebookなどでは少し書いていましたが、今年2017年の正月明けに妻の乳がんがわかりました。
現在は手術などを終え化学療法に入っています。

今は気持ち的にかなり落ち着いていますが、一時期は本当につらく、つらくても仕事でもプライベートでもしっかりせねばならず、なかなかしんどい状況がありました。

乳がん当事者の気持ちや経緯がつづってあるブログは結構あるのですが、パートナーのものはあまりなかったので、夫目線で、こういうことがあるよとか、こういうポイントでつらかったよ、こういう風にしたら楽になったよ、ということを書いておくことで、少しでも役に立てればという思いがあり、この文を書くことにしました。

あくまでも夫目線でまとめますので、妻はどう思っていたとか、こういう風に不安そうだったとか、辛そうだった、ということはあまり書きません。

おっぱいがおかしいと言われて

2017年のお正月明けに、突然妻が「なんか左のおっぱいがおかしい」と言い出しました。
乳頭が変な方向を向いていると。
生理前だから何かおかしいのかもしれないという話をしていたのですが、そんな悠長なことを言ってても仕方がないので、すぐにお医者さんに行ってみてもらうということになりました。

この時はまだ、癌だったら、という考えには至らず、「たいしたことがないといいなぁ。」という程度の気持ちでいましたが、検査に行った妻から「先生が血相変えて組織検査までやった。検査結果は近日中に出る。」というLINEが入ったところで、様々な考えが頭の中をぐるぐるし始めました。

  • 妻が癌だったらどうしよう
  • いやまだ確定じゃないし

同時に、このタイミングから乳がんについての勉強を始めていました。
早めに病気について学び始めたので、何がポイントになるかということがある程度わかってきましたが、逆にこの行動は精神的にきつい原因を生み出しました。

  • 良かった点:妻がかかっているかもしれない病気の知識を得られた
  • 悪かった点:下手に知識を得たので、どんな診断になるかを考えてしまい、程度によっては妻がいなくなるかもしれない、という可能性が頭から離れず不安になった

病気について知れば知るほど、いろんなことが分かってきます。
ネット中心でリサーチしていたので、間違っていることもたくさんありましたが、知識を得ていくと、

  • 今の状況から考えるとこれぐらいの進行具合ではないか
  • もしかなり進行してしまっていたらどうしよう
  • ネットやテレビでタレントさんの乳がん闘病を目にする機会もあるけども、あんなにつらそうになってしまうのか・・
  • 最悪妻は程なくしていなくなってしまうのではないか
  • 子供をどうしよう。万が一があったら可哀そうすぎる

という本当に悪いことの方ばかり余計に考えてしまうようになっていき、とてもつらかったです。

しかし、同じような境遇の方に、余計なこと考えなくていい、というアドバイスをするわけにもいかないと思います。考えてしまうはずですから。
1つ言えるのは、この文を読んでいる同じ境遇の方は今とてもしんどいかもしれないのですが、僕は今しんどくないので、そのしんどさはある程度の時間でなくなるはずですよ、ということです。

今はつらいかもしれませんが、耐えましょう。トンネルは抜けるので大丈夫です。

乳がんが確定して検査結果がでるまで

先ほどまでの時点では検査をしただけだったので、結果が出るまでの間も不安はありつつ、ひょっとしたら何かの間違いかもしれないよねー、なんていう気休めの話を妻としていました。

ただやはり心配で、いち早く結果を知りたいということで検査結果を妻と一緒に聞きに行きました。

ここで1度目の告知を受けることになります。

1度目の告知では、乳がんであるかどうか、というところまでしかわかりません。(どういうタイプかまで分かるかと思っていましたが、わかりません)
このタイミングでは、「あなたは乳がんですから、検査、治療に入りましょう。」という告知のみになります。
※この後精密検査を受けて、乳がんのサブタイプやステージなどが出てくることになります。

癌であることが確定したここから精神的には一気にどん底です。
この後、検査の予約をし、検査結果が出るまで1か月ほどはかかったでしょうか。

精密検査の結果がでるまでに考えたことはこんなことでした。

  1. どこまで進行しているのだろうか・・・
  2. 妻が可哀そう
  3. 万が一があったら子供が可哀そう
  4. いや自分が一番かわいそうなのでは
  5. なんで癌になったのか(腹立たしさ)
  6. いろんな悪いパターンのシミュレーション

最初は妻が可哀そうでしかたなくなり、次に子供が可哀そうになりました。
最後に、自分が可哀そうになりました。そしてこの時さすがに1回泣きました。
そのあと腹が立ちました。
腹が立つし、不安だし、つらいし、かなりきつかったです。

あまりに不安でつらくになったので、高校からの友達に話を聞いてもらったりして、落ち着くことに努めました。
それでも不安で寝れないレベルだったので、さすがに精神科に行って安定剤をもらいました。
事情を話せば、処方してもらえるはずです。
かなりしんどい時は、なにも悪いことはありません、薬の力に頼ればいいです。
自分が不安でおろおろし続けて、仕事にも影響を出すわけにはいかないし、子供が不安になるのはもっと良くないです。妻はもっと不安だろうから、自分が不安でいるわけにも・・という気持ちもありました。

でもそのつらい気持ちや不安は、いろんな方法でやり過ごしていればしばらくしたらなくなりますから、そこは心配しないでも良いです。この先ずっとつらくはありません。

そして、このとき僕は悪いパターンのことばかり考えてしまっていましたが、客観的に分析すると良いパターンにはあまり考えが至らないということが分かりました。
良いパターンというのは何も起きなかった平和な生活のことで、それっていわゆる「ふつう」の状況だからです。
普通の状況をシミュレートするのはイレギュラーな悪い状態をイメージするより難しいんですよ。

なにが言いたいかというと、「悪い方向のことばかり考えてしまう、、俺はなんてひどい奴なんだ・・」という風には思わなくていい、ということです。
悪いことの方が考えやすいんです。だからそうなっていると思ってください。悪いイメージが多いからといって、悪い方に物事が進もうとしているわけでは決してないです。

告知は何度も受けることになります

少し話がそれます。

状況の告知が何度もあるとは、まったく思っていませんでした。
わが夫婦は乳がんの状況や程度の告知を、4回受けました。

  1. 乳がんかどうかの告知
  2. 乳がんの精密検査結果
  3. 手術後の状況告知
  4. 病理検査結果

2から4までは状況が変わらないケースもあると思いますが、妻の場合は2と3では異なる状況となり、最終的に4の結果を待つことになりました。

ですので、ともかく病状がはっきりせず、腹をくくるにもどの程度くくればいいのか、もういい加減にはっきりしてくれよ・・・という状況が3か月以上続きました

手術を行うレベルの場合説明があると思いますが、検査だけでは分からないことが実際に手術するとわかることもあるそうです。実際妻がそうでした。
このあたり心配であれば、検査結果を聞くときにお医者さんに聞いてみる方が良いでしょう。

手術・入院

この時期になると、検査結果が出でなんとなく先が見えてきたということと、入院手術のあわただしさ・どのように乗り切るか、というほうに気が向きますので、つらさという意味ではだいぶレベルが下がっていました。

精密検査の結果ももちろん一緒に聞きに行きましたが、同時にどういう治療を行っていくか、という相談を主治医とします。
手術については、妻は迷うことなく左乳房の全摘出を選択しました。
僕もそれでいいと思っていましたが、希望があれば、同時に乳房の再建手術も行うことができるそうです。

手術の内容は置いておいて、問題は手術とその後の入院期間中、子供の世話と仕事をどうするか‥ということです。
弊社は10時から19時が営業時間となっており、働く時間がまったく子供の生活リズムにはあっていません。

結局、身内や会社と相談して、

  • 私の両親が手術前日に上京し、その後数日家事と子供の世話をする(さすがに入院手続きや手術には付き添いたかった)
  • その後は僕が一人で何とかする
  • なんとかするために会社に事情を説明し、退院まではフレックスタイムをMAXで使って早く帰る

ということになりました。

私の両親はまだ仕事をしているので、短い間ですがわざわざ仕事を休みにして来てくれたのですごく申し訳なかったです。ありがたい。
義母はもう家事をそつなくこなして子供の世話ができる、という状況でもないので、致し方なかったです。逆に、しばらく手伝いに行けないという説明を妻からしておきました。

結局退院までは10日ほどかかりました。土曜には子供を見舞いに連れていくこともできました。
半分主夫みたいな生活で、毎日ご飯を作ったりいろんな家事をこなしていたのですが、案外楽しかったです。
ただ、早く帰るとはいえ帰宅して家事こなして夜にも自宅で仕事でしたので、疲労は結構なものでした(笑)。

妻が退院後、乳房を切除した部分を見るのが嫌だったのですが、見てしまえば大したものではありませんでした。
あれは結構すぐ慣れます。

病理検査結果が出る

妻が退院してから1か月はかなり心穏やかに過ごせました。
手術により癌を物理的に取り除いた、という事実と、家に妻が戻ったというのはやはり当たり前の普通なことで、とてもいいことです。
比較的早く妻は元気になったので、休みにはいろんなところに出かけるなどしながら、いったん病気のことは忘れて過ごしていました。

その後、退院後1か月で、病理検査の結果を聞いて今後の治療方針を決めるため、主治医のところに行くことになります。(病理検査結果はもっと早く出るところもあるそうです)

病理検査は、手術で取り除いた腫瘍や周辺組織を実際に調べることです。
そのものを調べるので、外からの検査よりいろいろなことが細かくわかります。

病理検査結果で、手術時に想定外だったことについて詳しい説明があり、それを踏まえて抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン治療を行う、という説明がありました。
それらの治療のリスクや、病理検査結果を踏まえた再発リスクなどについても説明があります。

このタイミングでは、単純にがんのステージがいくつだからどうこう、ということではなく、「あなたのガンはこういうタイプで、このような広がり方をしていた、だからこういう治療をすれば、統計上再発リスクはこの程度です。」というかなり具体的な説明になります。
これが最終的な診断ということになります。

私はこれを聞いたあとから1~2週間程度は不安な状態に逆戻りしました。
いったん忘れて過ごしていた、というのもありますし、具体的な病気の程度が確定した、というのもあるのではないかと思います。

化学療法などの開始

化学療法=抗がん剤投与、なのですが、妻の場合は3週間ごとに抗がん剤を投与する、というサイクルを8回繰り返すことになりました。
抗がん剤投与開始のタイミングについて、妻と喧嘩になったのですが、

  • 私は早い方がいいに決まっているから早くしたほうがいいという意見。GWだったら自分も楽に家事などをこなせる。
  • 妻はGWで羽を伸ばしてから半年の抗がん剤頑張りたいという意見。

結局は主治医に相談をし、GW明けからのスタートとなりました。
このあたりは、それぞれのご家庭でも意見が分かれ、なかなか難しいところかもしれません。

現在妻は、抗がん剤投与を1回終え、有名な副作用、毛が抜ける、というところに来ています。
昨夜、妻が毛が抜けてみっともなくなるのは嫌だというので、私は妻の頭をバリカンで刈りました。

自分の人生のなかで、妻の頭を坊主にすることになるとは思っていませんでした

抗がん剤の副作用については、しんどくてほぼ動けない、吐き気がすごいというものもあります。
だいたいこれは投与後10日前後続くようで、その間は入院時と同じように、私が家事などをサポートしていかなければなりません。
ただ、まったく動けないということではないし、抗がん剤治療は入院しないので、妻が具合が悪いとはいえ近くにいる分、子供をほったらかしにするということにはなりません。

ただ自分も半年間はサポートを続けていく必要があります。
また子供がめちゃくちゃ純粋でまっすぐストレートに心配するので、そのあたりのフォローも含めて、自分に無理が出ないよう、しばらくは早めに家に帰るようにしようと思っています。

ここから先はまだ僕も未経験です。
8回の抗がん剤治療を終え、放射線治療を毎日1か月行い、そのあとホルモン治療を10年ほど、と言われています。

放射線治療がどのようになるかによっては、また対応策を考えていかないとな、と思っています。

あとはもうなるようにしかなりませんし、不安なときにいやほど考えていろんな意味で腹は座っているので、いまはあまり不安を感じることはないです。

お金のこと

治療費は収入によっても違いますが、もし高額な医療費がかかりそう、ということがわかったら、「健康保険限度額適用認定」を先に申請しておく方が便利です。

後から払い戻される方式の高額療養費制度では、いったん手元のお金が出て行って、申請後戻ってくる、ということになるのですが、健康保険限度額適用認定があれば、自己負担上限までしか病院の窓口で払う必要はありません。

高額療養費制度ではかなりの額のお金をいったん先にはらうことになりますから、キャッシュフロー的には健康保険限度額適用認定を申請しておいたほうが間違いなくいいです。

会社にお勤めであれば総務部あたりに相談するか、自分が入っている健康保険団体に直接問い合わせをすると良いでしょう。

ネットの情報で一喜一憂しない

タレントさんが罹患したという事例も多くあり、ネットには乳がんの情報があふれかえっていますが、8割ぐらいはコピペしただけの適当なものです!

たとえば、乳がんのステージによる5年生存率、みたいな情報があふれかえっているのですが、あれはあてにしないでください。目安にすぎません。
ステージが同じでも、サブタイプによっては進行が速い場合もあるでしょうし、進行が遅いものの場合もあるはずです。

先ほども書きましたが、最終的な病理検査の結果で個別の病状に合わせて診断がおりますので、そこまでは目安程度に思っておくしかない、というのを覚えておくと良いです。
不安なことや疑問は、主治医にしつこく聞くのが一番いいと思います。

ネットで調べまくっても、わかることは限られていますし、とんでもないウソ情報があってそれを信じそうになったりしますので、そこには気を付けましょう。

※ネットの情報が全部だめ、ということではないです。気を付けて情報を得ましょう。

乳がん、というクリティカルな話題を書いておけば読みに来る人いっぱいいるよね、っていうサイトは多いです。乳がんの生存率は~なんて書けば、心配な人は見に来ますからね。
某WEL〇事件なんてまさにそれで、ちょうど僕が乳がんについて勉強している最中だったので殺意すら覚えたのを記憶しています。
てめぇらは人の不安な気持ちをあおって商売するのか・・!!?!??と。

健康診断は必ず受けましょう&受けさせましょう!

最後になりますが、主婦だったり、自営業だった場合、健康診断を受ける機会はほとんどないのではないかと思います。

私の妻も、専業主婦です。

健康診断は、強制でもされない限りうけるのが面倒なのは事実だと思いますが、きちんと健康診断を定期的に受けましょう。
また貴方が夫だったら、奥さんを引きずってでも絶対に受けさせるようにしてください。

  • お金かかるし
  • この前風邪ひいたときについでにやった血液検査大丈夫だったし
  • 腫瘍マーカーとかも正常だったし
  • 健康だって言われるし

などなどは、健康診断を受けない理由には一つもなりません。

むしろ健康診断ぐらいのお金で済むなら御の字です。
病気が早く見つかれば、今はがんでも比較的簡単に治療を終えて、場合によっては再発しないよーって話にもなるみたいです。

去年、おととし、なんだかんだいかない妻を引きずって連れて行けばよかった。これだけが僕の後悔として残っています。
そしたらもっと軽く済んでいたはずです。乳房を全部取らなくてもよかったかもしれないし、抗がん剤なんかやらなくてもよかったかもしれません。

ありがたかったこと

事情をくんで、色々フォローしてくれた仕事の仲間たちには本当に助けられました。
また、気晴らしに一緒に遊んでくれたり、声をかけてくれたり、些細なことでもありがたく、気持ちがすくわれました。

だいぶ長くなりましたが、とりあえず今のところまでの、夫としての経験をまとめてみました。

だれかの、何かしらの役に立てれば幸いです。

4 コメント

  1. 藤田健

    投稿ありがとうございます。
    まさに同じ境遇、励まされました。
    夫としての在りかた、考えたいですね。あらためて、闘病中の妻の強さが分かりました。私も、経験をふまえて、何か行動したいものです。

    • 著者によるコメント

      青木

      藤田さん
      コメントいただいたのに気付くのが遅くなり申し訳ありませんでした。
      ほんと、考えても仕方がないんですけど、いろんなことが頭をめぐってしまうんですよね。
      つらい気持ちもやっぱり残るんですが、自分の人生も大事ですし、バランスをとりながら前向きに歩いていければと思っています!

  2. カーズマン

    今、正に、リアルに、手術前の段階です。丁寧に説明してくれてありがとうございます。今後の参考にします。

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